韓国web漫画記録

趣味関連の記録。ロマンス・サスペンス・ノワール作品が好きです

11月・12月に読んだ韓国BLまとめ

年末です。

11月は2作品ほどしか新作を読めなかったので、思い切って12月とまとめて記録することにしました。

BeLToonのURLのサムネイルが出なくなってしまったのが目下の悩みです。なので来年はnoteに移行しようかと迷っているのですが、はてブロが好きだから続けたい気持ちが強く、未だに検討中のままです。

 

神の授かり方

 人外美人攻め×ジャガイモ青年受け(短髪で純朴純真、田舎の少年や青年のような雰囲気の受けのこと)の作品です。

 

 幼い頃に両親を亡くし、祖父に育てられたテソンは、唯一の家族である祖父を心から大切にしていました。大人になったテソンは、愛する祖父を病気から救うために、治療費を工面しようと懸命に働き続けています。

 しかし、ある日、祖父の病気が快方には向かわないと医師から知らされます。途方に暮れながらも治療費を稼ぐために、霊物探しのアルバイトを始めたテソンは、山中で瀕死の一匹の蛇を見つけます。

 実はその蛇こそが、「攻めのグムリャン」でした。グムリャンはその後、テソンの家を訪れ、「願いを叶える代わりに俺の子どもを産んでほしい」と頼みます。初めはその突拍子もない申し出を断るテソンでしたが、祖父の容態がさらに悪化したことをきっかけに、交渉を受け入れることになり・・・

という話です。

 

 じゃがいも受け作品は、韓国BLにおける人気ジャンルの一つです。その特徴に「性的な知識に疎い」というものがあるのですが、例に漏れずテソンも性的なことへの興味は薄いです。

 こうした純朴でかわいらしい「じゃがいも君」でありながら、見た目は爽やかな好青年であるところがテソンの素朴な魅力なのですが、何よりも筋肉美がすごいです。身体の厚みと程よく日焼けした肌がテソンのたくましさをあらわにしていて、そんな男前の彼が奇妙な蛇に徐々に開発されていくのが魅力的です。

 とはいえ、彼は祖父を救う対価として性的に搾取されているわけですから、エロに無邪気に喜んでいられるわけにもいかず、エロ描写はある意味で痛ましい描写としても受け取れてしまいます。このあたりをどう回収するかも見どころだと思います。

 先日シーズン1が終了して、状況は良い方向に進んでいますが、あまりにも順調すぎて、私の長年の経験が警告を鳴らしています。シーズン2で問題が起こりそうな予感がします。

 

 

あいつのマネージャー

サスペンス系BLです。

 

 児童養護施設育ちの青葉潤は周囲から「呪われた子」として忌み嫌われていました。ですが、高校時代には自分と同様に浮いている、前髪で顔を隠している不思議な同級生、能見一汰と友人になります。二人は「一生一緒にいる」と約束するまでの仲になるのですが、その直後、施設で連続殺人事件が起こり、青葉以外の全員が死んでしまいます。そして青葉自身も行方不明になってしまいます。

 数年後、青葉は逮捕されていない事件の犯人と、再会できていない友人の能見を探すために、武器会社に勤務することになります。代表の甥「牧野ユーエム」のマネージャーになった青葉ですが、彼は何かを知っているようで・・・・

というあらすじです。

 

※以下ネタバレあり※

 他人を愛せても自分だけは愛せなかった潤が、愛によって深い傷を負った能見と出会ったことが、かけがえのない幸運だと思える結末でした。
 自己犠牲を通してしか他人を幸せにする術を知らなかった潤が、自分は他人と共に幸せになれるのだと、自分の幸せは誰かにとってもまた幸せになるのだと知ることができて、本当によかったと思います。元々優しく他者に対して敏感な潤だからこそ、事件で唯一生き残った自分を許せず、長年苦しんでしまったのでしょう。その病理は深刻ですし、犯人と共に破滅する決意は固かったため、簡単に前向きになれるはずがありません。だからこそ、潤が最後に「生きてて良かった」と思えたのは、自分を許すことができたのだという何よりの証拠になると思いました。

 

トライ・アゲイン!~三回目の結末は?~

美人の後悔攻め、一途なじゃがいも青年受けです。

 

 才色兼備で人生が順調なソ・ユンジュですが、彼は「学生時代に手酷く振った男の夢を見ると、不運な一日になる」というジンクスに悩まされていました。しかしある日、パン屋で働くその男、カン・ジュンと再会したことで夢はより鮮明に、深刻になってしまいます。罪の意識を拭えばジンクスから解放されると考えたユンジュは、ジンと仲良くなろうとしますが、ジュンも彼のことを覚えており・・・・

というあらすじです。

 ジュンが切ないくらいに一途でかわいくて、序盤に不誠実な態度を取り続けるユンジュに謎の怒りを覚えながら読み進めていました。

 両想いになると分かっているにもかかわらず、ユンジュが恋心に自覚しないのが本当にもどかしかったです。とはいえ、ラブコメはそのもどかしいすれ違いを見るのが楽しいものだと気付き、後悔攻めにハマる人の気持ちが分かりました。

 

祭物亭主

『フルボリューム~マイクなしでも聞こえる~』アルバート&やんうんじ先生の新作連載です。

今回は前作2作品とは異なり、オメガバースを前提とした独自ファンタジーの世界観になっています。

 

 この世界には「巫蠱(ムゴ)」という正体不明の奇妙な神が存在しています。そして、ムゴには代々オメガ家からひとりのオメガを供え物として捧げる必要があり、生贄のオメガはムゴに喰べられて死ぬ運命となっています。受けのカン・ジャホンも生贄として彼らの住む館に送られました。そして彼は、過去にムゴと会った記憶を持っており、生贄になることに喜びを感じていました。

 しかし再会したムゴ様は別人のようで、ジャホンは生贄になることを拒否してしまいます。偶然にも生き延びることになった結果、ムゴ様には3つの人格があると知ることに。そして、その内の一人である「老人人格」のムゴ様から、他の人格に食べられてしまわないようにと血を分け与えられ、彼らとの共同生活が始まり・・・

という話です。

アルバート&やんうんじ先生のコンビはどれも大当たりですねー!やんうんじ先生のギャグ描写、ムチムチ筋肉美は、筋肉受けオタクなら必見です。連載開始して間もないため、今後が楽しみな作品です。

 

軌道を外れた片想い

 年下泣き虫美人ワンコのバスケ選手イ・アン×年上男前な大企業の社長ペク・ゴヌのラブコメ短編です。

 二人は同じ高校の先輩後輩関係であり、アンはゴヌに対して長年片想いをこじらせていました。しかし、既婚のゴヌが離婚したというニュースをきっかけに、再び想いが爆発してしまい、酔った勢いでゴヌと寝てしまいます。

 我に返ったアンは二人の友情さえも無くなってしまうと危惧しますが、ゴヌは体の関係を続けてくれる様子でした。そして、流されるようにイアンはゴヌとの関係をはっきりさせないまま、セフレ関係になってしまいますが・・・・

 

という話です。すれ違い系ラブコメ、泣き虫美人が攻め、頼りがいのあるエリートイケメンが受けという時点で既に神作品決定です。

マジュンジ先生の作品が好きな人はおそらくこちらも好きだと思います。たくましいムキムキ男性には女性ものの下着を付けさせるとセクシーだと分かりました。

 

おじさん!早く大学に来てください!

 大学生×40代の短編ラブコメです。

 会社勤めの40代、ジョン・ハンソンは、長年夢見ていた大学に入学するのですが、そこで2学年上のペク・チャンビンに言い寄られ、友人として親しくなります。毎日行動を共にする二人ですが、ある日酔った二人は身体の関係を持ってしまい、二人の関係が一変する・・・という話です。

 恋愛経験が豊富なハンソンが、童貞卒業でふんぞり帰っているチャンビンを若いな…と一笑しているシーンが特に好きでした。同年代の中ではかっこいいと持て囃されている攻めを、年上の受けだけは「青くてかわいいな」と暖かく見守っているのが、歳の差BL特有の魅力なのだと思います。

 

緑色の下:夢裏

画像

https://www.comico.jp/comic/11769

 

『緑色の下』のシーズン2です。大人の事情でシーズン1は各種シーモア先行、シーズン2はWEB版comicoが先行配信を行っているようです。

 

  シーズン1のラストでは、ジンが身を挺してマシューを守りましたが、これによってシーズン2序盤でのマシューの執着度がさらに増しています。一方でジンもマシューを失う恐怖に駆られて、二人は半ば共依存的な状態に陥るのですが、最後はきちんとハッピーエンドでした。とはいえ、その過程で紆余曲折がかなりあるので、読んでいる間はそれなりに苦しいです。

 お互いへの執着心によって空回りする二人が、どのように健全な愛を取り戻していくのかがシーズン2の見どころだと思います。

 そして何よりも、ジンがブランドンとの関係を断ち切るシーンは、クライマックスとして完璧でした。W.O.W.でのエドとチェンの場合も同様でしたが、自分にとって毒となる関係をどのように断ち切るか、「相手のため」という建前で他者をコントロールしようとする、典型的なパターナリズムに抗い自由を獲得する主人公を描写するのが非常に卓越していると思います。私が恣意的にそのような文脈を取り出して解釈しているだけなのか、はたまたJAXX先生の伝えたいテーマに含まれているのかは知り得ないですが、少なくともブランドンやチェンを「愛し方を間違えてしまったキャラ」として描いていることは明らかです。

 苦悩や困難があっても乗り越えて、ジンとマシューが我が道を進めるようになって良かったです。二人の絆や愛情が彼らの強さを引き出したのだと思えるお話でした。

 

 

 

今年は沢山BLを読んだり描いたりできて人生が豊かになりました。来年も楽しく読んでいくぞ!良いお年を!

 

10月に読んだ韓国BL・GL漫画まとめ

10月が終わりました。ぼちぼち下書きをメモしていましたが、体裁を整えるのに時間を要しました。これからも隙間時間にウェブ漫画読書記録をしていきたいので、もう少し書く過程を形式化してやっていこうかなと検討しています。

 

나의 반쪽짜리 에스퍼(私の半分のエスパー)

センチネルバースものです。この世界観では、モンスターと戦う能力を持った「エスパー」と、エスパーのエネルギー管理をする「ガイド」が主にCPになります。

ちなみに、韓国創作におけるセンチネルバースは、日本や英語圏で普及しているそれと異なる部分があるみたいです。以下のネイバーブログが分かりやすかったので引用に上げます。

以下あらすじです。

 国内有数のS級エスパーであるギュヒョクは、「半分のS級エスパー」と呼ばれていました。というのも、彼は自己回復能力だけがE級という、攻撃特化型のエスパーであったためです。彼は18歳の頃、任務の最中に9歳のスジョンを命がけで救助した結果、右足首に後遺症が残ってしまったため、現在は内勤で教育係として働いています。

 そして、同じセンター内には訓練生としてスジョンも在籍しています。彼も国内有数のS級ガイドとして覚醒しており、ギュヒョクの訓練を受けていました。

 しかし、スジョンはギュヒョクに恋心を抱いていて、ガイド訓練と称して一線を超えそうな行為を要求しながらアプローチしていました。他方でギュヒョクはそのアプローチに当惑しつつも、スジョンの一途な想いに圧倒されて徐々に想いが揺れていく・・・というあらすじです。

 

 美人攻め×筋肉受け、年下×年上という、韓国BLで人気のCPになっています。ネタバレにならない程度で萌えポイントを語るとするなら、能力を使うギュヒョクが半ケモになっているところが刺さりました。そしてエスパー受けなので、受けが攻めよりもフィジカル的に強いという部分にも倒錯性を感じられて素晴らしいです。

 

 

 

恋縁~因と恋の軌跡~

 時代物韓国BLです。

 狂人暴君の堅陽君(キョンヤングン)は、圧政を行い周囲から恐れられていました。誰にも心を許さない彼は、王に即位した後、初恋のソ・サンミョンとついに再会します。

 一度離れ離れになって、結婚までしてしまったサンミョンを、今度こそ自分から離れさせないために、堅陽君は様々な策略で彼を囲い込みます。しかしサンミョンは王を恐れており、彼から離れて故郷に戻ろうとしますが・・・

という話です。

 

 BLという建前で気持ち悪い攻めを最大限に表現しています。それが堅陽君のキャラクター性にも物語の面白さにも繋がっているのですが、こんな変態的な攻めはやはりあまり見たことがなくて、むしろそこに魅力を感じます。

 ですが一方で、その過激な気持ちには確実に恋慕があり、構造的にはかなりちゃんとしたBLをやっています。こうした王道BL的な物語の構造と、ユニークなキャラや舞台設定との掛け合わせが面白い作品だなと思いました。

 また、タイトルにもあるように、因や縁がキーワードになっているようで、サンミョンにも王に好かれた要因がありそうです。二人の過去も今後の進展もどちらも気になっています。

 

불굴의 챔피언(不屈のチャンピオン)

 韓国語版、英語版両方とも買いました。理由は単純で、売り上げに貢献したかったからです。今年トップ3に入るほど大好きな作品になりました。

 以下、あらすじです。

 「不屈のチャンピオン」と呼ばれた格闘家のホジュン。彼は怪我で突然の引退をした後、長らくギャンブル中毒になって7億の借金を抱え、人生のどん底に落ちていました。利息を払ってくれていた妻は息子と逃げ、借金取りにも追われた彼の元に、謎の男が現れます。彼はホジュンに、地下格闘技大会「ブルタルカップ」へ出場し、一攫千金を狙わないかと提案します。借金返済のために大会出場を決めたホジュンですが、実は「ブルタルカップ」はただの格闘技ではなく・・・。

という話です。

 最終話までに3ラウンドありますが、1ラウンド目からかなり過激な洗礼を受けさせられているホジュンが見られます。また、2ラウンド目の対戦相手であるポルノスターのリッキーチェンが、倫理から逸脱した奇異な性格を持つ反面、21歳というあどけなさを含んだ美人であるため、読者から異常な人気を博しています。Mr.Blueの運営にもたびたびネタにされています。

 アダルトウェブトゥーンやその他の謎広告が表示された際、リッキーチェンの広告が代わりに表示されれば、それらの広告表示が同時に防げるとの噂が広まり「리키 챙 님 저를 지켜 주세요(リッキーチェンさん、私をお守りください)」というネタが流行ったそうです。結果、公式が上記のお守りリッキーチェンをグッズ化しました。*1

 ポルノとしては暴力描写が過激なゲイポルノっぽさが感じられ、実際に疲弊物としてタグ付けもされています。暴力的なポルノが好きな人、暴力的なポルノにおける屈強な男性受けが好きな人には確実に刺さると思います。オススメです。

 

童貞キラー~マッチョ新入生の初体験は俺のもの!~

 みんな大好きアホエロ、ギャグ系BL漫画です。エロとシュールが両立すると至高のギャグになるというのが持論なのですが、これはまさにおもしろシュールなエロになっていてめちゃくちゃ笑いました。しかし一方で、エロ表現にも妥協していないのが素晴らしかったです。仕事や学校で疲れた日はこれを読んで元気を出しましょう。

 

고추실종사건(唐辛子失踪大事件)

 ラブフィットネスの無限大先生が描いた新作短編です。こちらも初心な童貞年下×年上イケメンの組み合わせなので、前作が好きな人はこちらも好きだと思います。

 以下、公式のあらすじ翻訳です。

隣に引っ越してきた、一日でも○○をしないと死ぬ男ソ・イェチャン。
彼の乱れた性生活により、毎晩壁ドン音に悩まされていたコ・ソクジュンは、結局、どんな刺激にも勃起できない状態に陥ってしまい...。
我慢できずに神様に彼のペニスを消してほしいと祈るようになる。

ところが、不思議なことに翌日から隣の家からうめき声が聞こえなくなる、
ソクジュンはイェチャンからペニスが消えたという衝撃的な知らせを受ける。

きっと俺のせいだろうから、解決してもらわないと困る、
この人...俺を精液でしか見てないのはちょっと腹立たしいな?

 ド下ネタな内容であることから若干の羞恥心が邪魔をしたので、あらすじは要約せず引用しました。

 ラブコメ要素がかなり強く、とはいえギャグの要素ばかりが突出しているわけでもなく、BL的なかわいい萌えとコメディの楽しさを同時に味わえる良い漫画でした。攻めも受けも両方ともノンケなのも珍しいと思います。

※カントボーイの表現があるので注意です。

 

What does the fox say?

 三角関係ドロ沼GLです。

 人並み外れた美人のソンジは、ゲーム会社の新入社員として入社します。彼女はチーフのスミンに一目惚れをするのですが、実はスミンは社長のセジュと元カノ関係にありました。その上、スミンとセジュは現在も身体の関係を持っており、過去に遭った出来事から、お互いへの後ろめたさと依存関係を断ち切れずにいます。ソンジはそうした事情を抱えたスミンと付き合うことになるのですが、セジュの影は未だに残っており・・・

というあらすじです。

 三角関係GLとしての切なさが最上級です。痛々しいくらいに切ないです。そしてセジュの見た目がまた罪深いくらい美しいです。BTDのセラ然り、この作品のセジュ然り、韓国GLはピンク髪美女の出演率が高くて心が躍ります。

 また、ホワイトブロンドのソンジピンク髪のセジュ、そして両者に挟まれるシックな黒髪美人のスミン、という組み合わせには視覚的な満足感もあります。違うタイプの美人が全て揃っていて、3人全員にそれぞれ魅力があるので、ここで三角関係を繰り広げること自体がもう苦しいです。ソンジスミンで幸せになってほしいけど、セジュがスミンに抱く気持ちもまた痛いくらいに重くて、読んでいてもどかしくなってしまいます。

 

オーディオドラマもあります。神様仏様オーディオコミックス様。

 

2022年にmofun cafeでコラボカフェも開催していていたようです。

 一縷の望みをかけてグッズ再販情報を検索していましたが、やはりあるはずもなくて過去の自分を恨みました。

 なので今は日本語翻訳の紙本出版に望みを託しています。

 ちなみに、Team Gaji作品は「Show me your bust」も日本語訳されています。こちらにもピンク髪の美女が出ているらしく、読むのが楽しみです。

 

ぜひ。

*1:

"불굴의 챔피언".나무위키.2024-10-15

https://namu.wiki/w/%EB%B6%88%EA%B5%B4%EC%9D%98%20%EC%B1%94%ED%94%BC%EC%96%B8#s-6

(2024-11-24)

思い切ってコミティアにサークル参加して良かったという話

 11月17日に開催のCOMITIA150にサークル参加しました。 サークル参加をするということは、何かしらの頒布物を作ることを意味していますが、例に漏れず私も漫画を描きました。

 

 自分は元々、絵を沢山描くわけでもなく、そもそも本格的に描き始めたのも4年ほど前というTHE初心者なので、漫画を描いたり読んでもらったりということへの心配はかなり強かったです。

 そして極度の心配性・小心者なせいで、匿名のインターネットの中でも引き籠りがちで、基本的にすべて受動的な、アウトサイダーなオタクとして立ち回っていました。なのでオフイベントに参加するのは、自分にとって階段を何段も飛び越えるくらいのエネルギーが必要でした。それでも恥を忍んで漫画を描いたことで、得られたメリットがたくさんありました。何よりも純粋に楽しかったです。

 

 もちろん、100%満足のできるものが描けたわけではなく、ほとんどが反省点な上に、読み返すのも躊躇うほど恥ずかしさが残っています。

 にもかかわらず、コミティアを終え、次回もまた参加したい!と思えてすごく幸せです。もしイベント参加や創作に躊躇している人がいたら、ぜひ参加するべきだと強く伝えたいので、自分が感じたポジティブな影響をまとめておきます。

 

・漫画オタクとしての欲が満たされた

 コミティアはオリジナル限定のイベントです。そして、普段読んでいる漫画家さんの同人誌が買えるだけではなく、自分が普段触れないジャンルの同人誌も見られるので、漫画好きが新ジャンルを開拓できる絶好の機会です。

 インターネットでは情報量が多くて取りこぼしてしまったり、エコーチェンバーによって似たようなジャンルばかり読んでしまったりしがちですが、会場では自分が足を動かした先に偶然の出会いがあります。なので、普段なら絶対に出会えないであろうジャンルでも、その魅力を感じ取ることができて、漫画オタクとしての欲が満たされます。

 

 加えて、同人作品特有の「作者の好み・こだわり」が前面に出ていて、個々人の「好き」という想いを一気に感じられて楽しかったです。

 旅行レポ漫画や怪談まとめ漫画、動物のスケッチと解説とまとめた漫画、詩集や短歌集、小説、ポルノ系漫画、音声作品など、自分なりの「好き」を表現している人が世の中にはたくさんいて、その人たちが同じ会場に集まって共有しあっているということ自体に、この上ない幸せを感じました。

 なぜなら、それらは誰に頼まれたわけでもなく、ただ自分の好きなものやこだわりを追求したいという、至極純粋な気持ちが原動力になっているからです。

 もちろん、商業デビューを目指す足掛かりとして参加している人も多いと思いますが、それでも自分の中にあるイメージを伝えたい、共有したいという気持ちは背景にあるはずなので、目指しているところが違うだけで、趣味でもプロ志望でも「こだわり」に対しての向き合い方は共通していると思います。

 

 私は、誰かに頼まれたわけでもないのに、どうしても作りたくなってしまった結果、できるのが創作だと思っています。そしてそれが人の創造力のすばらしさだとも思っています。そうした素晴らしい創造力を、頭の中で留めておくのではなく、物理的な形で出力して、他者に伝えようとしてくれること自体が、尊いコミュニケーションだと思いますし、そういう人がここに6000人以上もいるのかと思うと、嬉しさに圧倒されました。コミティアに参加して得られた一番の影響は、この点だと断言できます。

 

・創作の自由を肯定してくれる

 おそらく私だけが抱いた感想かもしれませんが、コミティア内には「巧拙など関係なく、誰でも自由に創作をして良い」という暗黙の共通認識が感じられました。そんなこと当たり前だろ…と思われるかもしれないですが、冒頭で述べたように、私は極度の小心者クソザコナメクジなので、自分の「こだわり」「好き」を形にして人に見せることに、無性に恥ずかしさと後ろめたさを感じていました。

 ですが、会場にいる人が楽しく前向きな気持ちで参加していることによって、そうした言い訳を並べて逃げの姿勢をとることは、むしろ不誠実なように感じました。たとえ普段そう思っていたとしても、ここではルールや公序良俗に反しない限りどんな創作をしても良いのだし、そのために設けられた場なのですから、何も問題はありません。そういう意識によって、自分のナヨナヨした心が支えられて、結果として、後半は自分の漫画への恥ずかしさを忘れて純粋な気持ちでイベントを楽しむことができました。

 今まで通りネット上で細々と気ままに絵を描いて、一人だけで楽しんでいるオタク活動とは明らかに異なっていますし、こうした新しい経験をしたことで創作の楽しさだけではなく、創作を通して人と交流する楽しさも知ることができました。色々な人や物に触発されて興味のアンテナも増えましたし、何よりも、今まで躊躇していた交流がこんなに楽しく活気を呼び起こすものだったと知れて、嬉しかったです。

 サークル参加は一人でできるものなので、売れるか分からない、出来が悪くて恥ずかしいとかいう不安は一度横に置いておいて、思い切って参加してみると、オタク人生がより充実するんじゃないかなと思いました。

 迷っている人は2月のコミティアに参加しましょう!えい!

9月に読んだ韓国BL漫画まとめ

9月が終わりました。最近は忙しいにも関わらずなんとか漫画を読もうとしていて、もはや中毒だと思います。寝る間を惜しんで浦沢直樹の「monster」を再読し、手塚治虫の「MW」を読み耽りました。そのうえでwebtoonも週刊誌も月刊誌もしっかり読んでいます。

 

Roses and Champane

ロシアを舞台にした、マフィア×弁護士のハードボイルド系漫画です。

 

韓国出身のチョン・イウォンは、亡くなった母親との「ある約束」を果たすためにロシアで弁護士として働いています。彼はジダーノフという市議会議員に工場を奪われそうになっているニコライの弁護人になっていましたが、実はジダーノフの後ろ盾にはカエサルというマフィアがついていて、裁判では圧倒的に不利になってしまいます。そのため、イウォンはカエサルに直接会って話をつけようとしますが、カエサルに脅され、それでも怯まず交渉し続けます。

そして、当初イウォンを甘く見ていたカエサルは、こうしたイウォンの威勢の良さに惹かれ、イウォンの裁判に協力するという条件で、彼を「個人的な弁護士」として雇い、二人の共同生活が始まります。

かんばせの良い男が同じ屋根の下で二人、一人はもう一人に惹かれていて、もう一人は無防備で、当然なにも起きないはずはありません。

 

カエサルの危険な雰囲気も、彼を魅了するイウォンの無鉄砲な危うさも、二人とも異なったセクシーさがあります。また、話が進むにつれて、カエサルの弱い部分や、イウォンの頼りがいのある強さが見えてきて、そのギャップに人間味を感じます。ハードボイルドな世界で狂ったように生きている二人かと思いきや、人間らしくすれ違った恋愛をしたり、お互いにドキドキしたりしているところに、BL的な萌えがあるなと思いました。

 

日本語版もkindleで配信されていますが、18禁シーンがカットされているようなので、できれば本国版かUS版で読むことをオススメします。

 

ちなみにオーディオドラマもあります。現在はシーズン1まで更新されている模様。

ティザー動画

オーディオドラマ本編

 

 

 

ディス・ラブ:Diss Love

芸能ものです。そして何よりも、

 

かわいい弱気な攻め×かっこいい肉食系受けです!!

 

人気ミュージシャンのジョン・イホンは、過去の恋愛のトラウマによって心を閉ざしています。真面目な恋愛をしないまま何年も経っているイホンのもとに、ある日新人歌手のチャ・ヒョンホが表れ、売り出し中の彼をサバイバル番組で優勝させるために協力します。しかし実は、ヒョンホは何年も前からイホンを一途に想っており、心を開かないイホンに対して一生懸命にアプローチし続け…

というあらすじです。「罪な男イホンお兄さんに振り回される、不憫でかわいいヒョンホくん」という関係性です。これが萌えの核心ポイントです。

 

そして何よりも、受けのイホンがかっこいいです。仕事では打算的で、需要を的確に把握しながら愛想を使いこなし「イオン」としてのパブリックイメージを維持し続けて人気を博しています。そこに「イホン一筋!イホン以外は何でもどうでも良い!」という爆弾みたいなヒョンホが表れるのですが、イホンはそれすらもコントロールしてしまう賢さとしたたかさを持っています。

 

こちらもオーディオドラマがあります。

ティザー動画

オーディオドラマ本編

 

オオカミ男子の飼育日記

ポップな絵柄でケモノ人間受け作品で、先輩後輩カップリングで…この要素からは日常系ハッピーエンドBLしか想像できなかったのですが、当たり前のようにバッドエンドでした。

しかも「バッド」の方向性がまた、果てしなく攻めに都合の良い結末で、受けが底抜けにかわいそうです。バッドエンドなのにどうしてこんなに後味が悪くないのか、不思議な作品でした。再読します。

 

異物の棲家

関わった人間を死に至らせてしまう謎の呪いを持ったチェ・ゴンは、家族とも関わりを断って生きていました。大学生になっても一人で生きていた彼ですが、ある日同級生のシン・ウヨンと卒業旅行に行こうと決心します。しかし、ウヨンは交通事故に遭ってしまい、一週間後に意識を取り戻したものの、髪の色も態度も一変してしまいます。挙句の果てには「前世でゴンの夫だった」と主張し始め、ゴンを呪いから救えると豪語するウヨンに巻き込まれながら、関係が発展していくというあらすじです。

 

受け・ゴンの境遇がかなりかわいそうな状態で物語が始まるので、疲弊物かな?と最初は思っていたのですが、その心配とは裏腹に2話以降のエロ描写が豊富でした。10話まで更新されているうちの、7話分はエロ描写があります。微エロも含めるとエロ含有率76%くらいです。

クールで暗い雰囲気でかっこいいゴンが受けなことにこの上ない喜びを感じます。前世でのつながりもある話なので、過去の二人の婚姻関係がどんなものだったかも気になるところですね。

 

Love OR Hate 

センチメンタルな三角関係BLです。

私はハードボイルド、サスペンス系の筋肉BLが好きなので、耽美系の美人受け作品は今までスルーしていたのですが、イラストの配色センスと詩的なモノローグに惹かれて読み始めました。

韓国BLにおける洗練されたモノローグといえば、今まではJOHN先生が筆頭だったのですが、そこに並ぶくらい文章表現が美しいです。キャラの感情を的確に表現しながら、余計な言葉は削って野暮なことは言わず、直接的に感情を表現せず、あくまでも婉曲的に抽象的にキャラの心情を伝えているのが素晴らしいです。

 

特に以下三つのモノローグは個人的にとても好きで、

「世の中はいつも 何が起きてもすぐに大丈夫になる 大丈夫じゃないのは俺一人だけだ」

「彼のことが羨ましかった 一方では彼のことが嫌いだった 彼が好きだといった文章を俺はむしろ嫌いだったし 文章を読んでいるように俺のことを読んでいる視線も嫌いだった」

「嘘を嘘でつなぎ 粗末な弁解を塗りたくっていた 隙間から不安が漏れた 譲は勘が良かった」

複雑で形容しがたい負の感情を、主体と客体の両方をバランスよく使って表現することで、そのまま「曖昧で複雑で形容しがたいモヤモヤした感情」として受け取ることができて、それが素晴らしいです。

 

恋愛で傷つき恋愛で癒される、恋愛で人間を知る、みたいな3人には、私が決して持ち合わせていないような人間的教養を感じます。たまにこういうセンチメンタルな恋愛漫画を読んで、ポルノ脳が深刻になるのを予防すると良いかもしれないです。

 

例のごとくオーディオドラマがあります。

ティザー動画

youtu.be

オーディオドラマ本編

 

是非。

8月に読んだ韓国BL・GL漫画まとめ

8月が終わり、腰痛が始まりました。

この漫画記録も徐々に更新が遅れてきていますが、マイペースにやっていきます。

 

リマ症候群~狂気に満ちた愛の行方~

泥沼過激系のオメガバース短編です。

一見するとアルファに見えるほど体格の良いオメガのペク・ムヨンは、高校時代の後輩キム・ヒウォンと同居して、生活をほとんど彼に頼っている状態です。その後ろめたさから、ムヨンは就職が決まらない中でアルバイトを始めるのですが、ヒウォンは実はそれを快く思っていないようで・・・というあらすじです。短編でありながらヒウォンの狂気的な愛情がカンストしています。すごいです。そしてオメガバースとはいえ、ムヨンはアルファ顔負けの体格を持っているので、そのあたりも筋肉受けオタク的にはありがたかったです。

 

Placeboプラセボ

義理の兄弟が禁断の恋愛をしてしまうやつです。関係性は兄弟だけど、血がつながってないから色々とセーフ!的なノリに過激なエロ漫画の雰囲気を感じられます。限りなくセーフではないですが。

異母兄弟である兄・ウヨンと弟・ウジンの仲は険悪であり、ウヨンはウジンを嫌って邪険にしています。対して弟のウジンはウヨンに嫌われていると知りながら、あえて兄につきまとって嫌われるように仕向けています。

ある日、ウジンが冗談半分で催眠を試したところ、ウヨンは本当に催眠にかかってしまい、二人の関係が一変する、という話です。

義理に限らず、近親ものは今まであまり読む機会がなかったのですが、「プラセボ」は1話の時点で兄弟の仲がめちゃくちゃ悪い上に、お互いいじめあっているという暴力性の高さに魅力を感じました。

 

ラストステップ

「ピザ配達員とゴールドパレス」のupi先生の別作品です。

この作品のあらすじは、公式のものが最上級に綺麗で素晴らしいのでそちらを引用します。

親代わりで最愛の人だった祖母の死後、生きる目的を失い無気力な日々を過ごしていた千暁。ある日友人に誘われたクラブでとても美しい男…蒼佑と出会った。同じ大学の先輩と後輩だった二人は、構内でも一緒に過ごすようになり、蒼佑の家で何度も身体を重ねていくうちに一緒に住む事に…。献身的で愛情深い蒼佑に、傷付き悲しみで満たされた千暁の心は徐々に癒えていく。傷を抱えた二人が出会い、幸せに向かって踏み出す最後の一歩は――

upi先生の漫画に出てくるキャラは、苦しみに対して各々が本悩んで苦しんで、それでもどうにか頑張って生きていこうと折り合いをつけているのが感じられて、すごくいいなあと思います。

なぜなら、「苦しい問題を乗り越えられなくても、折り合いをつけられる」ということは、そのキャラの心情が「それでも生きていこう」と思えるように変化したことを示しているからです。そしてこの心情の変化は、個人的には、「人間的な成長」だと思っています。だからこそ、何かはっきりとした答えや救いがなくても、人間は生きていけるんだなーと思えてうれしくなります。

あと、先生の作品は「美人攻め×男前受け」が定式になっているので、この属性を好むオタクとして格別な喜びがあります。とにかく何もかもが素晴らしいので読んで欲しいです。upi先生の最高傑作です。

 

サディスティック・ビューティー~千遥×花凛編~

長編作品サディスティック・ビューティーのGL版スピンオフ外伝です。本編はメインが男女CPなのですが、途中でGL・BL展開があるそうです。私は本編を完読できていないのですが、GL読みたさに外伝を先に読んでしまいました。本編の内容を知らなくても楽しめるように描かれているので、気になった方は外伝からでも全く問題ないと思います。

大学で演劇部に所属する花凛は、同じ部に所属する千遥に一目ぼれしてアプローチをします。千遥はガサツで鈍感でドジな女の子であり、花凛の求める「ご主人様」とは程遠い性格でしたが、それでも彼女に惹かれてしまい・・・という話です。

基本的にSMプレイ描写がメインではありますが、過激さは控えめです。なのでSMに関係なくGL萌えをしたい方も楽しめると思います。何よりも、もどかしい恋愛をしている二人がかわいくて最高です。

 

ちなみに外伝はBL版もあります。こちらは本編を少し読んでおいた方が良いかもしれません。

 

一方通行ロマンス

総受け系BLです。絵柄が特徴的なラブコメで、おそらく中~長編になるかな?と思われます。

記者のジェハンは特ダネ欲しさに香港系企業CEOのホチョンと、彼と繋がっているという香港マフィアのウィアンが出席するパーティーに潜入します。ですが、予想外に飲まされてしまったジェハンはウィアンの目の前で嘔吐して倒れてしまい、知らない部屋で目が覚めたジェハンの目の前にはウィアンが居て・・・というあらすじです。

ブコメ要素が強くてコミカルな場面が多いため、笑いながら楽しく読めるのですが、一方でエロ展開には本気なのが良かったです。

 

波の海岸~安らぎの場所~

年上アルファ受け作品です!

オメガバースで一番うれしい設定は、妊娠が可能だという事でもフェロモンでも運命の番でもなく、「無条件で強い社会的権威を持つアルファが受けになれる」ということです。アルファ受けにBLのロマンを感じる派の人はぜひ。

子どもの頃に家族を失ったキ・ユノは、自分を救ったジュ・へウォンに長年の片想いをしています。ユノにとってのへウォンは同時に唯一の保護者でもあり、へウォンもユノを「弟」として扱っているため、ユノはヘウォンへの恋心を諦めていました。しかしある日、アルファであるヘウォンが突然ラットを起こし、そこにユノが遭遇してしまうことで、彼の決意が揺らいでしまい・・・という話です。

 

「繊細で弱々しい攻め×たくましくて頼りがいのある受け」が大好きなので、精神的にも肉体的にも、経済的にもすべてユノ以上であるヘウォンが受けをやっているのが自分の定義するBLの構造と完璧に一致していて、満足でした。

 

キリング・ストーキング

韓国BLの代名詞である「夜画帳」が現在は人気ですが、それより少し先に「キリングストーキング」が話題になっていたなあ、という認識がありました。どちらも長く愛されている傑作には変わりないと思います。

超人気作のベストセラーなので、もはやあらすじを書く必要もないと思いますが一応…

境界性パーソナリティー障害のウジンは、兵役時のセクハラから自分を助けてくれたオ・サンウを好きになり、彼のストーカーとなります。執拗なストーカー行為の末、サンウの家のキーロックを解除して侵入すると、そこには無残に痛めつけられた女性が監禁されていました。驚くウジンの背後からサンウが襲い掛かり、ウジンも彼に監禁されて殺されかけてしまいますが、殺される直前に「サンウさんが好きなんです」と訴えるウジンを見て、サンウは「ある事」を思いつき…

 

という話です。

※以下ネタバレありです。

 

あらすじからも分かるように、ウジンもサンウも、倫理的な正しさとは縁の遠い人たちです。当たり前のように二人は犯罪者ですし、それを疑わず自分の狂った異常さを無意識に正当化しています。どう考えても「狂っている」としか言いようがないです。

 

スリラーサスペンスに大きく舵を切っているため、読むのに体力がいる作品ではあります。ですが、サンウの殺人には、その一因と考えられるような過去とトラウマがあり、それに苛まれ続けるサンウ自身の痛切さには、同情や共感はできないものの、妙に惹きつけられる痛々しい魅力があります。

そして、ウジンも徐々に、「恐怖の対象」としてではなく「愛すべき人間」として、サンウの異常さを受け止め始めます。恐怖と恋慕の両者を行ったり来たりしているウジンの様子も見応えがあります。そして、彼がサンウへの想いを再構築していくにつれて、サンウもそれに応えるように行動していき、それらを繰り返すことで、徐々に破滅に向かっていきます。

 

情状酌量の余地もないのに、キリングストーキングがここまで心を圧倒するのは、ウジンもサンウも「愛を渇望した」だけの弱い人間だからだと思います。愛されたい気持ちは誰にでもあって、それが無いままに試練ばかり与えられると、人は簡単に呪いに負けてしまうのだと思います。サンウとウジンがファンに愛されているのも、彼らは「切れば血が出る弱い人間だ」と感じられるように書かれていたからだと思います。

 

ちなみに、連載終了後にドラマ化の話も浮上したみたいなのですが、過激な内容やサンウの女性嫌悪描写に対して懸念の声もいくつかあったようで、おそらくドラマ化は中止になっているのだと思われます。残念。

クギ先生公認の上で、ファンメイドの3DCGアニメも製作されていたようですが*1、製作費などの理由で製作チームが解散し、白紙になってしまったそうです。告知映像やアカウントもすべて削除されています。見たかった~~~!(トレイラー映像は探せば見られますが、さすがにリンクを貼ることはできないので小声で言うに留めておきます。)

 

ですが、作者のクギ先生は、新作(ゾンアポ作品)を製作中とのことです。

 

ちなみに、ファンメイドアニメの3Dモデレーター担当だったmOss氏は、今年になって活動を再開した模様です。'Helluva Boss'のストラスとブリッツというキャラクターを擬人化した上でモデリングしてるみたいですね。かわいい。

 

ちなみにこの二人は公式アニメでがっつりキスしてました。

youtu.be

 

ぜひ。

 

*1:Koogi先生によるツイート:

https://x.com/kooo_gi/status/1266572450646515713

7月に読んだ韓国BL・GL漫画まとめ

7月です。BL・GL漫画の感想と記録を付け始めてからそろそろ半年になりますが、やっとハイパーリンクが使えるという事実に気付きました。なので今回は無駄にリンクの埋め込みをしています。

 

W.O.W:Walk On Water

『緑色の下』のJAXX先生の前作です。長編作品ではありますが、一気に読むことをお勧めします。この作品はあまりにも没入度が高くて、ラストを見届けるまで現実に帰ることができませんでした。

あらすじは、理不尽な借金を背負わされたエドが、お金のためにゲイポルノ会社に俳優として応募し、そこで出会った社長のマックイーンと演技をしながら恋に落ちていく、という物語です。お互いの素性を知らないまま、偶然に出会ったエドとマックイーンは徐々に惹かれていくのですが、それぞれ気持ちや価値観に違いがあったり、個人的な問題に直面したりしていて、二人が感じる切なさや葛藤を痛切に感じ取ることができます。

文字だけではどうにも上手く説明できないのですが、マックイーンに焦がれるエドの切実な感情が、とてもセンチメンタルに描写されていて圧倒されました。

また、映像を題材にしていることもあるからか、構図や間の取り方が巧みで、まるで映画を観ているようでした。韓国語版のコメント欄では「ネットフ〇ックスは早くJAXX先生に作品をオファーしたほうが良いですよ」という興奮しきった読者のコメントがあって面白かったです。

 

Please,candy!~僕のアメを舐めてください~

5話完結の短編です。

大学からの先輩後輩関係であったウヌとハゴンは、「同じ会社に就職したら恋人になる」という約束をしていました。そして、後輩のウヌがハゴンを追いかける形で同じ会社へ就職し、約束が果たされると期待していたハゴンでしたが、彼の期待とは裏腹にそっけなく振舞うウヌに振り回されてしまう、というあらすじです。

5話完結でありながらキャラも物語にも厚みがあって、構成力を感じられる短編でした。webtoon短編の構成でお手本にするならこの作品が一番参考になるんじゃないかと思います。

そして何よりも、ハゴン先輩が照れる姿とそれを楽しむウヌが倒錯的でセクシーでかわいいです。

 

HOME~俺たちの居場所~

友達から恋人になる系のBLです。

ソウルで俳優をしているユンソンと、田舎で仕事をするドギョンは、小さい頃から現在まで仲の良い幼馴染です。そして、ユンソンはずっとドギョンに恋心を抱いており、ドギョンに会うためソウルと地元を頻繁に往復していました。ですが、ある時ユンソンの気持ちがドギョンに見抜かれてしまい、二人の関係が徐々に変化していくという話です。

ユンソンとドギョンは前提としてお互いをこの上なく思いやっていて、二人の暖かい関係に癒されます。また、儚い系美人のユンソンが恋愛では意外と積極的な一方で、たくましいしっかり者のドギョンがユンソンにだけは弱くなってしまうという対比がとてもかわいくて、読んでいて幸福度が上がるのが良いです。

 

マルセル~溶け込む鎖~

サスペンスでメリバな長編BLです。戦地でのトラウマを抱えながら姉と暮らすローですが、ある日突然姉が失踪してしまい、失踪事件のカギを握る「マルセル」にスパイとして潜入することになります。ローはそこで出会ったAという男に魅入られ、危険な犯罪者かもしれないAを警戒しながらも、彼に惹かれて翻弄されていくという話です。

サスペンスとしても苛烈でドラマチックですが、そこで「好きになってはいけない男」であるAに惹かれていくローから、背徳的な救いを感じて妙な気持になります。そして何よりも、禁欲的な雰囲気のローがAに性的に色々されてしまうのがめちゃくちゃ良かったです。

※以下は個人的な趣味の色が強くなるので、BL萌えを必要としている人は読み飛ばしてください。

 病的なまでにAに依存していくローを見ていて、明らかに自滅的な道を選んでいるのにも関わらず、Aと出会う以前のローよりも満たされているような描写が印象的でした。おそらく、ロー自身が選択した「幸福」と社会一般のそれは大きく異なったものなのだと思います。

 ローは心の弱さに付け込まれて洗脳されてしまいましたが、少なくともここでは彼がトラウマに怯えることはもう二度とありません。もちろん、きちんとした治療を受けてトラウマを治すこともできたと思います。ただ、その未来を当人が「幸せ」と感じるかどうかは、また別の話ではないかということです。ローは自分を幸福にするものが何かを知っていて、それを選んだに過ぎないのでしょう。(個人的には、ローは「幸福になった」というよりも、「不幸を拒まなかった」と言うほうが正しい気がします。)

 破滅に向かう選択を自己決定として尊重するべきだとは思いたくないですが、かといってローの選択を否定すれば、彼の居場所は失われてしまいます。こうももどかしくなるラストであるのに、きちんとキャラの選択に説得力を持たせた作家さんは、本当に力量がすごいなぁと思いました。

 

bomtoon(韓国連載版)ではシーズン1終了後・最終話後にそれぞれあとがきがあり、作家さんコメントとイラスト、キャラクターの設定が読めます。活気あふれる読者コメント欄も、共感できるコメントばかりで面白いのでぜひ。

 

破倫劇~背徳の母娘~

短編GL漫画です。

売れっ子俳優だったヒジョンは、過去にミョンヒの夫と不倫したというスキャンダルによって、芸能界を追放されていました。ある日、ミョンヒの娘であるジナと「母娘関係」を演じることになるのですが、ジナの思惑によって二人は性的な関係を持つようになり、その過程で徐々に真実が明かされていくという話です。

GL漫画でここまで過激な設定なのも珍しいですし、韓国ドラマ的なおもしろさがあります。個人的には過激な泥沼展開のGLが大好きなので、ジナのような危うい蠱惑さを持った美女が、儚く美しいヒジョンをめちゃくちゃにしているのが最高でした。昼ドラドロドロ展開のGLって良いですよね。日本の作品でも増えたらいいなと思っています。

 

お前のミルクがほしい!~男なのにおっぱいからミルクが出るようになりました~

直接的なタイトルが印象に残った短編作品です。

テヤンとヒテは異常な仲の良さが当たり前になっており、大学生になって同居もしています。ある日突然テヤンの胸からミルクが出るようになり(!?)、それを隠そうと奮闘するテヤンと、大好きなテヤンの異常を察して秘密を暴こうとするヒテの攻防を描いたラブコメです。テヤンの身体に起きている異常がトンデモ現象であるにもかかわらず、おもしろとエロのバランスがとれていて楽しく読めました。あと、ヒテ→テヤンの愛情が強烈なのもかわいかったです。こういう作品は何度でも読めますね。

 

エレクトリック・リバースラブ

『フラッシュライト』の作者Yangma先生が描いた短編です。

パク・ジウンは友人のカン・スヒョクに片想いをしており、その気持ちを利用してスヒョクはジウンと身体の関係を結んでいます。ある時「なんでも願いを叶えられる」と称した宅配便(中身はアダルトグッズ)が届いて、ジウンはスヒョクを手中に収めるためにそれを使ってスヒョクを調教するという短編です。

スヒョクとジウンの立場が逆転したときに、ジウンがとても満足げな表情をするのですが、その顔がすごく「何かに目覚めた感」があってセクシーでした。

単なる経験則なのであてになりませんが、韓国BLを探索し始めてから、サド受けマゾ攻めの作品に高確率で出会います。というか、そもそも韓国BLにはBDSMテーマの作品が多くて、この流行りの源泉がどこにあるのか気になっています。あとシンプルにありがたいです。

 

ぜひ。

6月に読んだ韓国BL漫画まとめ

ビハインド・スキャンダル~俺たち友達なのか!?~

全年齢短編漫画です。かわいい系イケメン芸能人のジョン・ドウンと平凡な大学生のイ・チャンの両片思い物語です。設定や展開は割とベタですが、攻めのドウンのあざとさと、受けのチャンのツンデレ猫感が良い化学反応を起こしています。お互いに気持ちを隠しながらすれちがう二人がかわいいです。

 

羊のマスクを被った男

いわゆる「BLらしい」愛や恋愛ドラマはありませんが、サイコスリラー的な刺激があってとても面白い漫画です。

兵役中に周囲の人や上司のユヒョクからセクハラを受けたパク・ケヨルが、除隊後にその復讐としてユヒョクを監禁し、性的に暴行するというストーリーです。ケヨルもユヒョクも報われないバッドエンドなのですが、個人的には、この結末が最も腑に落ちるような気がしました。トラウマで苦しみ犯罪に手を染めて死んでしまうケヨルも、加害者でありながら幸せに生きていたユヒョクが復讐を受けるのも、因果応報のようでそうでないような、正しさという物差しで彼らを判断するには心もとない、あまりにも無常で凄惨な人間の一生が感じられました。

 

心の奥を覗かせて

『羊のマスクを被った男』のPaskim先生が描いた長編連載です。驚くべきことに全年齢BLです。とはいえシリアスな作風は変わらず、キャラが受けている心理的な苦しさも相当あるので、この手のジャンルが好きな人には刺さると思います。

メインCPは黒髪メガネの蒼空と茶髪優等生の桐斗です。蒼空はクラスメイトの天輝に思いを寄せており、趣味のカメラで彼を盗撮(!?)していました。それを偶然桐斗に知られてしまい、桐斗が蒼空の弱みにつけこんで弄ぶ過程で、蒼空を好きになってしまうという物語です。

蒼空も桐斗も辛い経験やトラウマを抱えており、特に桐斗は幼少期から親との関係に問題があるせいで、情緒がかなり不安定です。蒼空にもトラウマがありますが、精神は比較的安定しており、似た寂しさや悩みを抱える桐斗に共鳴する形で、桐斗の支えになっています。結果として、最初に出会った時から関係が徐々に変化していくのですが、そこでの桐斗の感情が不安定でヒステリックで、メンヘラさが加速していく様子がすごく魅力的です。この重い愛情を蒼空がどう受け止めるかが今後の見どころですね…。

ちなみに、本国版→英語版→日本語版の順で連載が進んでいるので、韓国語が読めなくても英語版である程度の先読みができます。加えて、名前のギミックが凝っていて、原題"클라우드(クラウド)"に関係する「空」「雲」が名前に組み込まれているという面白さもあり、各言語で読むとさらに楽しめる作品です。

余談ですが、英訳版紙書籍販売を切望するファンによって署名が集められています。

 

フラッシュライト

トラウマにより人前で歌えなくなってしまったアマチュア歌手のユジンと、ユジンの歌声を聴かないと眠れない人気俳優のアーロンがホテルで出会い、口論の末倒れこんだところを熱愛スキャンダルとして勘違いされたことから、偽装カップルとして関係を結ぶ話です。6月に連載が開始されたためまだ情報が少なく、話が進むにつれてもっと面白くなっていくと思われます。ユジンが元タチでアーロンに対してはウケなのですが、それが個人的にめちゃくちゃ萌えます。ユジンの気の強さやアーロンに対しての心の距離が、今後どう縮まっていくのかを楽しみにしています。

 

キャンパス陰謀論~キレイな顔が大好きです~

『フル・ボリューム』を描いたやんうんじ先生の短編です。「人気者で社交的な陽キャ」というキャラを必死に守る大学生の蓮と、近寄りがたい陰鬱な見た目で自己中心的な性格の道政が偶然グループワークをすることから始まる恋愛物語です。極度な面食いの蓮が、メガネを外した道政の顔にときめいて翻弄されてしまうところが可愛いですし、何よりも、やんうんじ先生の描くキャラは全員愛嬌があって親しみやすさを感じます。デフォルメキャラやユニークなコメディ要素が沢山あるので、読んでいて幸せになれます。

 

クズの情事

※6月末にレジンコミックス、ベルトゥーン共に配信終了してしまった作品のため、現在は購入することができなくなっています。

スラム街で貧しく産まれ育った森将生が、自警団の仕事で売春クラブ「キングコブラ」の社長キョウスケ・リーに男娼としての魅力を見初められアプローチされたことで、将生がキョウスケに片思いをしてしまうという話です。

攻めのキョウスケは恋愛感情を所有欲と勘違いしており、無意識に将生に惹かれているにもかかわらず、契約関係によって将生を自分専用の男娼として「所有」しようとします。普通ならここで幻滅して恋愛を終わらせようとするはずですが、「クズの情事」というタイトル通り、将生もある種の異常さを持ち合わせています。

キョウスケが身内に裏切られたときに将生は売り飛ばされ、過酷な男娼生活を送ることになるのですが、それでも幸せな未来を諦めることはしていませんでした。加えて、キョウスケと再度出会うために、変態の金持ちをスポンサーに付けて芸能人としてメディアに出るなど、病的なまでの強さとキョウスケへの執着心を持っています。

とにかく将生がかわいそうで胸が痛くなる物語なのですが、当の将生本人は不屈の精神で絶望的な現実を打開しようと頑張っていて、たくましすぎる将生のかっこよさに惚れ惚れとしてしまいました。二人して執着心が異常ですし、お互いのためなら何でもできてしまう将生とキョウスケは無敵だと思います。

 

ヨナとチャンイル

『クズの情事』のジョン先生が描いた別作品です。スラム街で生きるヨナは男娼のチャンイルに惚れており、チャンイルを買うために奮闘するヨナとそれを拒むチャンイルが紆余曲折を経て結ばれる話です。

ジョン先生の作品をいくつか読んで分かったことは、ジョン先生は攻めも受けも過激で深刻な問題に直面させるのが好きそうだということです。誤解を恐れずに言うと、「キャラをかわいそうな目に遭わせる趣味があるなあ」と思いました。『クズの情事』でも苦しい展開が長く続いていましたし、この作品でもチャンイルはどん詰まりのどん底を歩いています。個人的に、おそらくこれらの悲劇的な展開がエロ描写と結びつくことで、ポルノとしての刺激を高めているんじゃないかなと邪推しています。このように過激なポルノ描写がある一方で、モノローグの文章や心理描写も丁寧で美しいため、文学的な側面でも楽しむことができます。

ジョン先生は漫画も小説も両方作っているらしいと知って、文章の美しさと漫画のうまさが両立していることが腑に落ちました。

 

Shutline

 

道端でフリーの整備士をするムン・シンゴンが、偶然出会ったジェイク・ギランをカモ客にしようと詐欺を企んだところ、実は危険な男だったジェイクにやり込められて囲われてしまいます。この出会いを契機として、シンゴンがジェイクの仕事に関わったり、性的な関係になったりして時間を共にしていきながら、お互いを知って惹かれ合っていく物語です。

金髪坊主の攻めジェイクのキャラデザが印象的で、無造作な坊主スタイルでありながらとんでもなくセクシーです。対する受けのシンゴンもめちゃくちゃセクシーで、片方だけ一重な左右非対称の目と、飾らない素朴な雰囲気に引き込まれます。そして二人とも肉体美が素晴らしいので視覚的な満足感があります。

二人が合意の上でお互いを利用し合ったり、腹を探り合いながら徐々に信頼を深めていったりする様子も最高です。人生経験が豊富で自立した30代のジェイクとシンゴンが、お互いに背中を預け合っているところにバディ的な絆を感じますし、受けのシンゴンが身体的・精神的にたくましくてめちゃくちゃカッコイイです。洋画的なハードコアものや、男前受けを求めている人は絶対に読んでください。

オーディオドラマ(日本語字幕有り)もありますし、つい先日カットアウトアニメーション(日本語字幕有り)も販売開始しました。配信プラットフォームはどちらもVimeoOndemandです。

オーディオドラマ

カットアウトアニメーション

ちなみにキャラソンもあります。

 

緑色の下

こちらもハードコア系BL漫画です。

カフェでアルバイトをするアートスクール学生のマシューが、偶然来店したジンの美しさに見惚れて、彫刻のモデルを依頼することで関係が始まります。

強気でかっこいいジンに常に主導権があり、マシューが小心者の子どもとして描かれているところに、韓国BLの趣が如実に感じられます。確かに、ジンに振り回されながらとことん心酔しているマシューは従順な後輩であるように思えます。しかしながら、話が進み、人間味や社会性の希薄なマシューがジンだけに異常な関心を寄せていることが明らかになると、その気味悪さがジンの強さを圧倒していくように感じました。実際にジンもマシューを「気味の悪い奴」と評価しており、他人から恐れられる存在のジンが不気味がっていることからも、マシューには狂い攻め・執着攻めの才能がありそうです。

 

本国では2021年から連載が開始されており、同年にRIDI BOOKSで賞を取るほどの人気作であったため、既にメディアミックスが豊富というありがたい福利厚生があります。オーディオドラマやキャラソンだけではなく、最近ではコラボカフェも開催されていてグッズ展開も増える一方です。

オーディオドラマ:오디오코믹스(AudioComics)で配信中

オーディオドラマのティザー

 

キャラソン

 

 

ぜひ。